長江が東京帝国大学在学中に発表した「風葉論」は、同時代の日本の作家を扱った初の本格的な作家論として注目されました。
夏目漱石、森鴎外を初め、田山花袋、島崎藤村、泉鏡花、徳田秋声、真山青果、森田草平、正宗白鳥など、独自な選択眼によって同時代の作家を選び、多くの作家論を書き残しました。
長江は「批評の独立」を主張し、批評は、自己を語り、自己を発表するものであるとして、それぞれの作家に忌憚のない意見を述べています。
それらは、「同時代の文学界に密着した評となっていない」との批判もありますが、「泉鏡花論」は、今なお泉鏡花論の規範となっています。